コーヒーのクレマとは?泡ができる仕組み・味・見分け方を分かりやすく解説

コーヒーのクレマとは?泡ができる仕組み・味・見分け方を分かりやすく解説
コーヒーのクレマとは?泡ができる仕組み・味・見分け方を分かりやすく解説
抽出レシピと味わいの評価

エスプレッソの表面に浮かぶ、きめ細かな褐色の泡を「クレマ」と呼びます。見た目がクリーミーなためミルクの泡と間違われることもありますが、クレマはコーヒー豆とお湯だけで生まれるものです。

クレマには豆の鮮度や抽出状態が反映されるため、エスプレッソを確認する手がかりになります。ただし、クレマが厚ければ必ず美味しいというわけではありません。豆の種類や焙煎度によっても量や色が変わるため、味と合わせて判断することが大切です。

この記事では、コーヒーのクレマとは何か、泡ができる仕組みや味への影響、自宅で上手に抽出するポイントを分かりやすく解説します。

コーヒーのクレマとは?エスプレッソに浮かぶ泡の正体

クレマとは、エスプレッソを高い圧力で抽出したときに表面へできる、黄褐色から赤褐色の泡の層です。「crema」はイタリア語でクリームを意味しますが、乳製品は含まれていません。

クレマができる仕組み

焙煎したコーヒー豆の内部には二酸化炭素が残っています。エスプレッソマシンで細かく挽いたコーヒーに圧力をかけると、二酸化炭素の一部がお湯に溶け込みます。

抽出されたコーヒーがカップに出て圧力から解放されると、溶けていた二酸化炭素が細かな気泡になります。その気泡が、コーヒーに含まれる油分や糖類、タンパク質、褐色成分などによって保たれたものがクレマです。

クレマは、二酸化炭素の気泡をコーヒー由来の成分が支えてできた泡と考えると分かりやすいでしょう。

ハンドドリップや一般的なコーヒーメーカーでは、エスプレッソのような圧力をかけないため、通常は同じ仕組みのクレマはできません。抽出中に見られる泡や粉の膨らみは、クレマとは別のものです。

クレマとフォームミルクの違い

クレマとフォームミルクは、材料も作り方も異なります。

種類 主な材料 作り方
クレマ コーヒー豆とお湯 高い圧力でエスプレッソを抽出する
フォームミルク 牛乳や植物性ミルク スチームなどで空気を取り込んで泡立てる

クレマはエスプレッソそのものから生まれる泡です。一方、フォームミルクはカフェラテやカプチーノを作る際に加える、ミルクの泡を指します。

クレマの始まり

現在のようなクレマを持つエスプレッソが広まった背景には、イタリアのアキーレ・ガジアが開発した高圧抽出の仕組みがあります。

1938年に蒸気だけに頼らず、加圧したお湯で抽出する方式が考案され、1940年代後半にはレバーとピストンを利用したマシンが登場しました。従来のコーヒーには見られなかった泡の層は「クレマ・ナトゥラーレ」として紹介され、現代的なエスプレッソの特徴として定着していきました。

クレマはエスプレッソの味にどう影響する?

クレマは見た目だけでなく、香りや口当たり、苦味の感じ方にも関係します。ただし、クレマだけを味わった場合と、液体部分と混ぜた場合では印象が異なります。

香りと口当たりに関係する

クレマにはコーヒーの油分や香りの成分が含まれています。液体と一緒に口へ含むと、エスプレッソらしい厚みや滑らかさを感じやすくなります。

細かな泡があることで舌触りに変化が生まれ、ドリップコーヒーとは異なる濃厚な質感を楽しめるのも特徴です。

クレマ自体は苦く感じることがある

クレマだけをスプーンですくって味わうと、強い苦味や渋味を感じることがあります。クレマが必ず甘く、エスプレッソの刺激を和らげるとは限りません。

抽出直後のエスプレッソは、カップの中で濃度や成分が均一になっていないことがあります。そのため、飲む前にスプーンで軽く混ぜると、クレマと液体がなじみ、味のバランスを確認しやすくなります。

クレマの量だけでは美味しさを判断できない

厚いクレマができていても、抽出不足で酸味が強かったり、豆から出るガスが多すぎて味が落ち着いていなかったりする場合があります。

反対に、浅煎りの豆やアラビカ種だけを使用したエスプレッソでは、クレマが薄くても香り豊かで美味しく仕上がることがあります。

クレマはエスプレッソの状態を確認する手がかりの一つです。クレマの厚さだけで品質を決めず、香り、甘味、酸味、苦味、後味を合わせて判断しましょう。

美味しいクレマの見分け方

豆や焙煎によって見た目は変わりますが、抽出状態を確認するときは、色、泡の細かさ、消え方の3点が参考になります。

色は黄褐色から赤褐色が目安

一般的な中煎りから深煎りのエスプレッソでは、ヘーゼルナッツのような黄褐色から赤褐色のクレマがよく見られます。濃淡が細かな模様になって現れる状態は、タイガースキンと呼ばれることもあります。

ただし、色だけで抽出の良し悪しを断定することはできません。浅煎りの豆では明るく薄い色になりやすく、深煎りでは濃い色になりやすいためです。

泡が細かく均一かを確認する

比較的安定したクレマは、表面の気泡が小さく、全体が滑らかに見えます。大きな泡が目立つ場合は、豆にガスが多く残りすぎている、抽出が不安定になっている、あるいは圧力を補助するフィルターによって泡立っている可能性があります。

すぐに消えないかを見る

抽出直後にクレマがほとんど消えてしまう場合は、豆が古い、挽き目が粗い、抽出が速すぎるなどの原因が考えられます。

一方、クレマは時間とともに消えていく泡なので、長時間残らないからといって異常ではありません。数分後まで同じ状態を保つことより、抽出直後の泡の細かさや味とのバランスを確認する方が重要です。

クレマを見るときのポイント

  • 泡が細かく、表面が滑らかか
  • 豆の焙煎度に合った色をしているか
  • 大きな泡が目立っていないか
  • 抽出直後にすべて消えてしまわないか
  • 実際に飲んだとき、味のバランスが取れているか

クレマの量を左右する4つの要素

クレマの量や状態は、豆の鮮度だけで決まりません。コーヒー豆の種類、焙煎度、挽き方、抽出条件などが複雑に影響します。

コーヒー豆の鮮度

焙煎後のコーヒー豆からは、少しずつ二酸化炭素が放出されます。焙煎から長い時間が経過し、ガスが少なくなった豆では、クレマも出にくくなります。

ただし、焙煎直後の豆が最適とは限りません。ガスが多すぎる豆を使用すると、クレマが必要以上に膨らんだり、泡が粗くなったりすることがあります。

適切な休ませる期間は、焙煎度や保存方法、豆の種類によって異なります。購入した店に飲み頃を確認するか、焙煎日から数日以上休ませた豆を使い、抽出状態を見ながら調整しましょう。

アラビカ種とロブスタ種の違い

ロブスタ種として知られるカネフォラ種は、アラビカ種よりもクレマの量が多くなりやすい傾向があります。そのため、伝統的なイタリアのエスプレッソブレンドでは、厚みのあるクレマや力強い苦味を出す目的で配合されることがあります。

ただし、ロブスタ種を使用すれば必ず泡が長持ちするとは限りません。泡の安定性は豆の成分や焙煎、抽出条件によっても変化します。

焙煎度

深煎りの豆は抽出時にガスが出やすく、クレマの量が多く見えることがあります。一方で、豆の組織がもろく、焙煎後のガスが抜ける速度も速くなりやすいため、保存期間が長いとクレマが減少します。

浅煎りの豆はクレマが薄く、色も明るくなりやすい傾向がありますが、それだけで抽出失敗とは判断できません。

焙煎度 クレマの傾向 味わいの傾向
浅煎り 明るい色で薄めになりやすい 酸味や華やかな香りを感じやすい
中煎り 黄褐色でバランスを取りやすい 甘味、酸味、苦味を調整しやすい
深煎り 濃い色で量が多く見えやすい 苦味や焙煎香、重いコクが出やすい

マシンやフィルターの種類

一般的なエスプレッソは、抽出時に高い圧力をかけて作ります。業務用マシンでは、抽出部分で9気圧前後を目安に設定されることが多く、温度は豆やレシピに合わせて調整されます。

家庭用マシンには、フィルター内の出口を狭くして圧力を作る「加圧式フィルター」が付属していることがあります。加圧式はクレマのような泡を作りやすい反面、泡の量が豆の鮮度や抽出状態を正確に表さない場合があります。

穴が多数開いた一般的な非加圧式フィルターは調整が難しいものの、挽き目や抽出状態がクレマに反映されやすいのが特徴です。

自宅でクレマを上手に作る抽出ポイント

自宅でクレマのあるエスプレッソを淹れるには、マシンの圧力だけでなく、グラインダーや粉の詰め方を含めた全体の調整が必要です。

抽出直前に豆を挽く

コーヒー豆は粉にすると表面積が大きくなり、ガスや香りが急速に失われます。クレマを安定させたい場合は、豆の状態で保存し、抽出する直前に必要な分だけ挽きましょう。

グラインダーは、細かな調整ができるエスプレッソ対応の刃式グラインダーが適しています。プロペラ式のミルでは粒の大きさがそろいにくく、抽出にむらが出やすくなります。

挽き目は抽出結果を見ながら調整する

挽き目が粗すぎると、お湯が速く通り抜けて圧力が十分にかからず、薄く消えやすいクレマになります。味も水っぽく、酸味が目立ちやすくなります。

反対に細かすぎると、お湯が通りにくくなり、苦味や渋味が強くなる場合があります。

最初から特定の秒数だけに合わせるのではなく、使用した粉の重さと抽出された液体の重さを量り、味を確認しながら挽き目を調整する方法が有効です。

例えば、コーヒー粉18gに対してエスプレッソ36gを抽出する比率から試し、流れが速すぎる場合は細かく、遅すぎる場合は粗くします。適切な比率や時間は豆によって異なるため、数値は出発点として利用しましょう。

粉を均一に詰めて水平にタンピングする

フィルター内の粉に偏りがあると、お湯が通りやすい部分だけに集中する「チャネリング」が起こります。チャネリングが発生すると、抽出にむらができ、クレマも不均一になりやすくなります。

粉を入れたら全体へ均等に広げ、タンパーを傾けずに水平に押し固めましょう。タンピングは力の強さよりも、毎回同じ状態で水平に仕上げることが重要です。

マシンと器具を十分に温める

抽出温度が安定していないと、豆の成分を均等に取り出しにくくなります。マシンは取扱説明書に従って予熱し、ポルタフィルターも装着した状態で温めておきましょう。

冷たいカップを使うとエスプレッソの温度が急激に下がります。抽出前にカップへお湯を入れて温めておくと、飲み始めまで温度を保ちやすくなります。

クレマが出ない・すぐ消える原因と対策

クレマが少ない場合は、豆、挽き目、粉の詰め方、マシンの状態を順番に確認すると原因を見つけやすくなります。

抽出が速く、コーヒーが薄い場合

抽出開始後、すぐに勢いよくコーヒーが流れ出る場合は、お湯が粉の層を速く通り抜けています。

主な対策

  • 挽き目を少し細かくする
  • バスケットに合った粉量を使用する
  • 粉を均一に分配する
  • タンピングが傾いていないか確認する

抽出が遅く、苦味が強い場合

コーヒーがほとんど落ちない、または非常にゆっくりと滴る場合は、挽き目が細かすぎるか、粉量が多すぎる可能性があります。

主な対策

  • 挽き目を少し粗くする
  • 粉量を確認する
  • フィルターの目詰まりを掃除する
  • 必要以上に強く押し固めない

豆が古くなっている場合

適切に抽出してもクレマがほとんど出ない場合は、豆から二酸化炭素が抜けている可能性があります。焙煎日が確認できる豆を選び、開封後は早めに使い切りましょう。

保存するときは、高温、多湿、光、酸素を避けます。短期間で飲み切る場合は、袋の空気をできるだけ抜いて密閉し、温度変化の少ない冷暗所で保存する方法が基本です。

長期間保存する場合は、1回分ずつ密閉して冷凍する方法もあります。何度も出し入れすると結露しやすいため、使用する分だけ取り出しましょう。

マシンが汚れている場合

シャワースクリーンやフィルターに古いコーヒー粉や油分が付着すると、お湯の流れが偏り、味やクレマが不安定になります。

ポルタフィルターやフィルターは使用後に洗い、抽出部分もこまめに清掃しましょう。逆洗浄に対応している機種では、メーカーが指定する方法と頻度でメンテナンスを行います。

抽出時の状態 考えられる原因 調整方法
流れが速く、クレマが薄い 挽き目が粗い、粉量が少ない 挽き目を細かくし、粉量を確認する
流れが遅く、味が苦い 挽き目が細かい、粉量が多い 挽き目を粗くし、粉量を調整する
流れが途中で乱れる 粉の偏りやチャネリング 分配と水平なタンピングを見直す
泡が大きく、量が多すぎる 豆が焙煎直後でガスが多い 豆を数日休ませてから試す
調整してもクレマが出ない 豆の劣化、マシンの温度不足 豆を替え、十分に予熱する

クレマについてよくある疑問

クレマに関して間違えやすいポイントを、簡潔に整理します。

クレマが多いほど高品質ですか?

多いほど高品質とは限りません。ロブスタ種の配合、深煎り、焙煎後の日数、加圧式フィルターなどによって、クレマの量は大きく変わります。

泡の量ではなく、実際に飲んだときの甘味、酸味、苦味、香りのバランスで判断しましょう。

クレマは混ぜずに飲むべきですか?

決まりはありませんが、味を均一にしたい場合は軽く混ぜる方法がおすすめです。クレマだけでは苦味を強く感じることがあり、液体と混ぜることでエスプレッソ全体の味を確認しやすくなります。

ドリップコーヒーにもクレマはできますか?

一般的なハンドドリップでは、エスプレッソと同じクレマはできません。抽出中に現れる泡は、粉から放出されたガスなどによるもので、高圧抽出によってできるクレマとは仕組みが異なります。

インスタントコーヒーの泡もクレマですか?

お湯を注いだときや、かき混ぜたときにできる泡は、通常のエスプレッソクレマとは異なります。ただし、製品によってはクレマのような泡を作りやすく加工されたインスタントコーヒーもあります。

クレマがなくてもエスプレッソですか?

高圧で抽出したコーヒーであれば、クレマが少なくてもエスプレッソと呼べます。豆の種類や焙煎度によっては、適切に抽出してもクレマが薄くなるためです。

コーヒーのクレマとはエスプレッソの状態を映す泡

まとめ
まとめ

コーヒーのクレマとは、エスプレッソを高い圧力で抽出した際、コーヒー豆に含まれる二酸化炭素とさまざまな成分によって生まれる泡の層です。

クレマには豆の鮮度や種類、焙煎度、挽き目、抽出状態が反映されます。細かく滑らかな泡は抽出を確認する手がかりになりますが、厚さや色だけで美味しさを判断することはできません。

  • クレマはミルクではなく、コーヒー豆とお湯から生まれる
  • 高い圧力で溶けた二酸化炭素が、抽出後に気泡となって現れる
  • 豆の鮮度だけでなく、品種や焙煎度でも量が変わる
  • クレマが多いことと、美味しいことは同じではない
  • 自宅では挽き目、粉量、分配、予熱を順番に調整する

エスプレッソを飲むときは、クレマの色やきめを観察したうえで、軽く混ぜて香りや味わいを確かめてみてください。見た目と味の両方を比べることで、自分にとって理想的な一杯を見つけやすくなります。

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